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大須賀淳
2025.9.28 18:38その他ニュース

〝島田三郎〟論破まつり・最終回

シリーズ番外編でお届けしてきた「〝島田三郎〟論破まつり」残りをまとめて片付けちゃいます!


そもそもこの8人の女帝は未婚か未亡人で、全員独身だった。

女帝が即位すると、結婚相手として、どこの馬の骨かわからない男が皇統に入り込んでしまう。

女帝の夫が、女帝を操って間接的に権勢をふるうかもしれない。

もし女帝が支那人と結婚したら、とんでもないことになるぞ!

それらの事態を避けるために、女帝にだけは生涯独身でいてもらうなんて、自然の摂理に反するしあまりにも気の毒じゃないか。

そもそも、女帝が立つと、違和感を持つ大衆がいるだろう。

キリッ!


「そもそも」と表されている事から読み取れるように、そもそも(笑)島田の弁は「女帝が立つと、違和感を持つ大衆がいるだろう」という所が出発点となっています。

 

ただし、ここにおける大衆のペルソナ(想定される人物像)は「島田自身」。進歩主義者的に振る舞っていても、「開化に際する婦人の心得」の中にも色濃く漂っているように、「女を下に見る」自身の性根を外側から省みるような視点は持てず、それどころか「大衆」という曖昧な像の中に擬態させる事で、自身の人格にまで矢が及ぶ事から逃げているんです。

 

「女帝が立つと、違和感を持つ大衆がいる」と言うのだったら、運動家として「大衆を啓蒙する立場」的な活動をしている者として、その「違和感」の正体にこそ斬り込まなければならない。事実、島田は西欧の文化に違和感を抱く人々に向けた啓蒙を発信しているんだからね。

 

ところが島田は、「自身の中の違和感」にさえも向き合わずに誤魔化してしまう事で、

 

女帝が即位すると、結婚相手として、どこの馬の骨かわからない男が皇統に入り込んでしまう(男性の天皇の結婚相手は誰でも良いの?)

 

女帝の夫が、女帝を操って間接的に権勢をふるうかもしれない(男性の天皇だってお后に操られるかもしれないじゃない?)

 

もし女帝が支那人と結婚したら、とんでもないことになるぞ!(男性の天皇だって外国人と結婚するかもしれないじゃない?)

 

といった、極めて単純な反転によってさえ0.000…1秒で破綻してしまう主張を振りまき始めるんですね。

 

この時点でもう、〝議論〟の土俵からは自ら降りているに等しく、「自身の機嫌をとる」ためだけの強弁を続けるヒステリッカーと化してしまう。

 

これは現代の男系男子固執者にも非常によく見られる姿ですが、自身の機嫌をとるためにあらゆる「謎ルール」を勝手に生成した上で、急に(ここでは、それまで貶め続けていた女帝という存在に対して)同情的になり「女帝にだけは生涯独身でいてもらうなんて、自然の摂理に反するしあまりにも気の毒じゃないか」などと言い出す。

 

これは、自身の不全感を誤魔化すためでしか無いルールを次々と作っては〝あなたのために〟と(物理的、精神的な暴力を伴って)押し付ける、「ドメスティック・バイオレンス」と構造的に全く一緒です。

 

DV的な歪みが生じる現場に共通して見られるのは、「決まりごと」が硬直化して根底にある意味を見失い、その束縛を受けた者が、いつしか主体性を喪失して自らも同様の束縛を課す者になってしまうという悲劇。

 

この構図の難しい所は、表面的な部分では「世間体の良い振る舞い」に迎合しているように見せつつ、実際には旧弊の体現そのものの精神性に真髄まで浸って、他者をその沼に引きずり込もうとする妖怪をいっぱい生んでしまう所なんですよね。

 

旧弊の束縛を打破するムーブメントなはずの「自由民権運動」の中心層に居た島田三郎の正体は「旧弊の沼に棲み、足をとって引きずり込まんとする妖怪」だったのではないか。

 

これは約140年たった現代でも、悲しいかな全く変わりません。見るからに妖怪丸出しの旧弊原理主義者は論外としても、世間受けの良い「リベラル・ファッション」で身を装いながらも、実はその薄皮一枚の下は「旧弊沼の妖怪」である例はいくらでも存在します。

 

自分としては、どんなに綺麗事を言っていても「愛子天皇」を真正面から希求できない人には「こいつぁひょっとすると〝因習沼の妖怪〟なんじゃ…?」という疑念を抱いてしまいます。

 

島田三郎は、功罪含めて色々と凸凹な人物だったのでは、と思いますが、その言説は、はるかに「優秀なサイコパス」であった事が感じられる井上毅によって最大限に利用され、伝統とも遊離した男系男子固執の皇室典範へとつながってしまいました。

 

現代における、狂人の妄言にしか見えない男系男子固執者の発言も、日本の「未来の歴史」を大きく歪めてしまう元凶になりかねない。

 

「珍説を嗤う」裏には、その緊張感が常に張り詰めています。

大須賀淳

次回の開催予定

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第127回 令和8年 1/11 SUN
14:00~17:00

テーマ: ゴー宣DOJO「新春 女はつらいよ」

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